山の中でクリップを・・・



Dioを買ってしばらくの間は、私はショートツーリングが好きでした。

片道30〜40km位の道のりをまったり走るのが定番でした。


ある晴れた日、いつものごとくぶらっと出かけました。

「今日は山の方に行こう」と思い、約30km離れた山に目的地を定め走り出しました・・・


しかし渋滞にハマり、目的地の山にさしかかった頃はすでに午後4時になっていました。

「・・・ココまで来たんだから山に登って降りるだけでも」と思ったのが間違いの始まりでした。


一度来た事がある山だったのですが、季節が違うためエンジンの調子が悪くなってきたのです。

「これはキャブかな?」と思い、すでに薄暗くなってきていた山道で明るい所を探し始めました・・・



しばらくしてガードレールの隙間に自販機を見つけ、そこの明かりでキャブをバラしはじめることにしました。

「これはMJじゃないな。ニードルでなんとかなるだろう」

と思い、キャブトップを開けてスロットルバルブを取り出し、スプリングを抜きました。すると


「ぐおっ。ニードルクリップが一番下になってる・・・これじゃ走らないワケだな」


という事で、ニードルクリップを外しました。

その瞬間


「ピィ〜ン」という音と共にクリップが谷底にダイヴして行きました・・・


「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・どうしよう


辺りが暗くなってきた山の中で一人途方にくれてみました・・・


ニードルが固定出来ないと、アクセルを開けても空気ばかりがエンジン内に入りエンストしてしまいます。

やはりなんとかしてニードルを固定するしかありません・・・

とりあえず考えました。缶コーヒー1本&煙草3本消費して・・・ひらめきました。


「コレ・・・缶コーヒーのプルタブを曲げればクリップ代わりに使えるんじゃ?」


もう思い立ったら即実行です。

手に持っていたコーヒーの空き缶をとりあえず握り潰し、プルタブを喰いちぎりました。


そして出来上がった針金のような物を、ニードルの真ん中に巻き付けて固定し、スプリングを無理矢理はめ込んでみました。

そしてエンジン始動&アクセルON!


・・・成功です。アクセルを開閉してもきちんとついてきます。

「やった・・・コレで帰れる・・・」

もう知恵熱が出る3秒前だったので速攻で山を下り始めました。

そして20分後・・・




道に迷っている私がいました(馬鹿




前に来た時は昼間だったので迷わずにすんだのです・・・

(実は私、自他共に認める方向オンチなのですよ)

・・・しかもガソリンも少なくなってきて、「地元からたった30kmの山の中で野宿ですか?」と思い始めたその時、

なんとか知っている風景に遭遇する事が出来、無事に家に帰れました。



・・・この日を境に、どんな近距離で出かける時も工具&スペアパーツをメットインに満載するようになりました。



教訓:プルタブを喰いちぎると意外と歯が痛い


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