ピストンとシリンダーのクリアランス・精度について



さて今回はですね、以前のコンテンツでもさわりだけを解説しましたが、「ピストンとシリンダーの

クリアランスと精度」といった件について解説してみたいと思います。

とはいえ、これはさして難しい事でも無いのですが、最低限度気にしていないと重大なトラブルになる

いった可能性が大きいので、純正以外のピストン&シリンダーを使う場合には大変重要な事柄になります。


この件は簡単な慣らし等の兼ね合いで、「ピストン&シリンダーの慣らしについて」の項目でも少しだけ解説を

行っているのですが…あれは今となってはかなり古い物であり、現在ではもっともっと酷い「パーツ」も存在して

いるという事もありますので、改めてがつんと解説をさせて頂きたく思います。


ではまず、その「ピストンクリアランス」ですが、これは文字通りピストンの「幅」とシリンダーボア内径の隙間、と

いう数値なんですが、とりあえずいつもの絵を描いてみますね。


ピストンとシリンダーの隙間

単純に図中の青矢印点が、おおざっぱなピストンとシリンダーの隙間になります。

ここで仮にシリンダーボア内径が「40.00φ」と仮定し、矢印部分の寸法が「片側0.025o」あってピストンの「前後幅」は「39.95o」とします。

すなわち、その場合のピストンクリアランスは「0.05o」、よく使われる表記ですと「5/100」のクリアランス、という事になりますね。




そして、ここで勘違いしてはいけないのは、ピストンの寸法として把握するのはピストンの「直径」ではない

いう点です。

シリンダーボアは通常は「真円」の寸法で作製されていますが、ピストンというものは熱膨張等を考えてあり

「上下、縦横等、どこを測っても同一にはならない寸法」になっているんですね。

なので、上の図ではシリンダーとピストンを縦にまっぷたつにした断面図みたいな物になっていますが、

そういう感じで「ピストン前後方向の幅」を、「ピストン寸法」として把握せねばいけないのです。


ピストンというものは、本来は「真横から見ても、上から下までが同一の寸法ではない」上に、仮に前後方向、

ピストンピンに沿ってまっぷたつにした場合でも、上の方から下の方までは同一の寸法にはなっていません。

これは、「エンジン実働時の熱膨張」を加味しているからそうなっているんですね。

(ちなみにピストンピン穴の位置ってのも、万一のエンジン逆回転を防ぐ為とかの理由で「ピストンの中心」には

穴は開いていなかったりするのがピストンという物体だったり)


ピストンプロフィール
一般的な空冷鋳鉄シリンダーとアルミ鋳造ピストンの場合はこんな感じです。

熱を持って膨張しやすいピストンクラウン辺りは、スカート部に比べてある程度狭い、というか小さくなっているのが定番です。

そして、ピストン上部でも「横幅」ともいえる横方向への寸法は、縦方向の寸法よりさらに小さくなっていますね。

が、横方向の寸法はよほど異常で無い限りはホーニングクリアランスの決定にはあまり加味しません。




とまあ、おおまかではありますが「ピストンの形状」という物はまずこうなっているとお考え下さいませ。

が、これが仮に冷却効率の高い水冷シリンダー用ピストンであるとか、アルミシリンダーで内壁メッキの

シリンダー用のピストンであるならば、熱膨張が小さめな事も加味しピストンの前後方向の寸法という物は

空冷用ピストンの様には上の方と下の方で大きな寸法差がある訳ではない物が多いです。

とはいえ、完全な「寸胴」で上から下まで同一寸法と言う訳ではなく、1/10単位程度での「差」はありますね。

いくら冷却効率が良くとも、ピストンの上の端と下の端が同一の膨張率である訳はありませんから(笑


が、これはあくまで「純正や純正に近い製造コンセプト」の物限定であり、安価な社外品のアルミシリンダー

とかだとアテに出来ませんよ。メッキシリンダーを過信してほぼ寸胴なピストンが付いてきている上クリアランスも

ギチギチ、ってのも平気で存在しますのでね。

当然、その手の物はメッキシリンダーの為ホーニング加工すら出来ない為にどうしようもありません(爆



さて、ピストンプロフィールの次に、肝心のホーニング時のクリアランスについて解説してみましょう。

これは皆さんもご存知の通り、ホーニング加工時にはクリアランス指定を行うのが定番ですが、この数値は

1/100単位での指定になります。


で、この数値を決定するにはですね、実はかなり難しい面もありますし企業秘密も混じるのであまり数値では

モノを言えないのですが…まず大切な点はピストン下端から5o程度の点のピストン前後幅に対して

シリンダーの内径寸法を決定する、と言う事です。


クリアランスの決定
こんな感じですが、前述の通り仮に図中B´点のピストン寸法が「39.95o」であれば、シリンダーを「40.00φ」で掘れば「5/100」のクリアランスになります。

が、その場合でもピストンクラウン周辺の寸法を加味してクリアランス数値を決定しないと、いくらB´点のみに対して大き目の数値で掘っていてもダメなんです。

寸胴ピストンの場合だと、仮にB点をかなり大き目の数値でホーニングを行っても「上の方」は抱き付きの可能性があります。




要は、ピストンの下部の寸法を基準としてホーニングクリアランスの数値を決めるのですが、ピストンプロフィールも

加味しておかないと、いくらガバガバにホーニングしても抱き付きの危険性は付きまといます。

もちろんこれはピストンの「台形具合」がどの位かによりけりなのですが、さすがにこの辺りの数値的なものや

許容範囲的なものは明確な公開を控えさせて頂きます。

(とはいえ、ピストンクラウン周辺だと0.01ではなく0.1単位で寸法差がある場合があるので、そんな場合は

そのピストン自体にどうやってもつじつまを合わせられない場合もあります…)


ちなみに、40φのピストンにて上部と下部の「寸法差」が仮に0.5oあったとし、それが50φのピストンとなれば

その「差」が同じく0.5oあったとしても同一の台形具合になっているか、といえばそうではありませんし、ピン上や

ピン下の長さにもよりけりです。

なので数値的に一概には言えない部分もありますし、それをアテにしてホーニングクリアランスを決定した上、

実際のアタリ具合等を良くしていく「寸法」を決定する方法は…最終的には「経験」しかありません。


が、この「ピストンプロフィール」を無視したホーニングクリアランス指定だと、せっかく精密ホーニングを行っても

無意味に等しくなる場合があると言う事は覚えておかれると宜しいかと思いますよ。

…内燃機屋さんに出すのもタダじゃないですしね(笑

あ、当然ですがこの辺のピストン寸法を取るのはマイクロメーター計測です。

ノギスとかで明確に分かるLVでは無いのでその辺りは誤解無き様にお願い致しますね。


ちなみに、当コンテンツでは小数点第三位以下の数値は四捨五入していますが、1/100以上の精度を出す事は

ホーニング作業では難しい上にそこまでこだわっても意味が無いのでそう表記しているという事もご理解下さい。



そして、私はこの辺りを加味しても、基本的に2st強制空冷鋳鉄シリンダーの場合であれば、4/100〜9/100程度の

範囲でのホーニングを行います。

ピストンプロフィールが関係する上に、チューニング前提であればある程度の「余裕」も無いといけないので

ギチギチにする方向性は好まない、と言う事もありますね。


で、これはあまりガバガバにしていたらリングからの吹き抜けが大きくなってパワーダウンするのでは?と

思われる方もおられるかと思いますが、それを言うならばリング合口クリアランスの方が大きな問題でして、

これも各車種の純正新品シリンダー&リングでの合口データを色々と取ってみるとよく分かります。

そこまですっかすかに「合口が広い」ってのはありえませんし、広くともおおむねこのくらいである、といった事が

判明していればさほど問題にはなりません。


当然、シリンダー内径をホーニングするとそのリング合口クリアランスも広がる傾向にはなるのですが、

だからといってホーニングクリアランスを小さめにするのではそれこそホーニングの意味がありませんからね。

そりゃ合口クリアランスも1oとかでがっばがばになっているのであれば問題ですが、普通はいくらなんでも

「常識的な範囲」に留まっている事がほとんどですし、むしろ合口が狭すぎて危険そう、って物も存在しますし。

そんな場合は合口部分をちょろっと削って広げてやる事も場合によっては大切ですね。


なお、「吹き抜け」に関しては…2stの場合はそこまで気にしなくて良い、と言いますか気にしてもしょうがないです(笑

4stの様に圧縮工程が長くきっちりとした新気のみを圧縮出来る訳ではありませんし、ソレを言うなら1本リング

仕様のメリットなんてどこにあるんです?って事になっちまいますからね。

2stではまず、その多大なる熱膨張に対するきっちりとした対策を施すのが、シリンダーやピストンに対して

最優先すべき事であり、それをクリアしないと安心してパワーを上げられないのですよ。


とまあ、この辺も明確な数値が公開出来ず申し訳ありませんが、ホーニングってのは単純に一部のクリアランス

のみを考えれば良いモノでもない、という事をご理解頂けると幸いです。

場合にもよりますが、おおむね「純正の値」よりもピストンクリアランスを狭めるというのは少なくとも私は

行わない、と言いますか分析的にそういった方向性になった事がない、と言う事も付け加えさせて頂きます。



ではでは、基本的なピストンクリアランス等のお話はこの辺にしておきまして、ここからはそれらの「精度」に

ついてちょっとだけのたまってみたく思います。


まず、これは私がいつも言っている事ですが…かなり安価な社外品のシリンダーやピストンだと、実際の

精度ってのは全くもって無視されているLVの物が非常に多いです。

これは絵に描く程でも無いので割愛しますが、まずシリンダーの内径自体、寸法がどうこう以前の問題で

真円にすらなっていない、なんてザラにあるんですよ。


そして、ピストンにしても製造誤差にかなりのバラツキがあり、前述の各部寸法なんてのは同一品を比べても

「製品公差」どころではなくあからさまに違っている物は存在します。

万一、ボアアップキットを購入してピストンのみ劣化で交換しようとしたとしても、シリンダーの劣化を差し引いても

ピストン自体が全くシリンダーに合致しない「精度」であれば、せっかくO/Hしても壊す方向にしか持って行けて

いない、なんて事にもなりかねません。


もちろん、全ての品がそうとは言いませんが、ポートがどうたらの前に、下手をすればシリンダーボアの穴自体

スタッドボルトの中心に位置していないというゴミ同然の物も私は見た事がありますので。


なので私は、ある程度の安定しそうなピストンプロフィールとクリアランスがあると確信出来る物意外は、

社外品シリンダーやピストン、ボアアップキットを使用する場合には例外なくホーニング加工に出しています。

どこのメーカーさんならば比較的安全、という事はココでは言いませんが…仮に言ったとしてもそこの品が

シリンダーは外国生産品とかならば品質の安定といった点であまりアテにならないのでどのみち意味が

ありませんからね。


もっとはっきり言いますとですね、社外品シリンダー&ピストンである程度上手く動く場合って事自体がかなり

幸運であり、元々の精度や構成が悪ければいくらバリ取りや慣らしを行った所で全く無駄です。

徒労にしかなりませんし、それで上手く動いても「たまたま」である、と言い切っても良いでしょう。

そもそも、外注ボーリングやホーニングを行った事のある方であれば「相場」もご存知かと思いますが、これも

安い所はやはり「それなり」ですよ?適当にクリアランスを決め打ちしてそれでホーニングずどーん、って

終わらせている場合もあるんです…


ですので、これは歯に衣を着せずにモノを言いますが、安くてパワーUP、なんて都合の良い話は世の中に

ありえないんです。たかだか「数千円程度のエンジンパーツ」がそんな高度な物になっている訳はありません。

そんな物を投入して長い時間をかけ気を遣って慣らしをする位ならば、最初からきちんとホーニングに出して

その上で手間を注ぐべきなんです。

ホーニングにしたっていくら高くとも1万を超えるってのは私も知りませんし、その位で安心が買えるのならば

元々のパーツ単価が安いのであれば投資しておいてしかるべきである、と考えますので。


…一番タチの悪いのはそこそこの値段がするくせにさほどその辺に気を遣っていないブツなんですが、

これはこれで中途半端に壊れたり壊れなかったりするので、あまり良く無い物であるとはなかなか

気付きにくい面もあるので、これはある程度はやむを得ないですね。



さて最後になりますが。

これだけクリアランスがどうのこうのとご説明しましたが、ここでちょっと引っかかる方もおられるかなと

思います。

以前のコンテンツでちょっとだけ書いた「慣らしの為のピストン加工」なのですが、これについて少々補足を

させて頂きますね。


以前、ピストンを組む前にはバリ取りは当然としても、下図の様に「シリンダー内壁と当たり続けている部分」を

慣らしておいた方が良い、と表記しましたが。


以前の下手絵
この図の赤斜線部分、ポート開口部と被らない部分を多少磨いておくと保険になる、という意味合いになります。

これは対角側、つまり排気ポートと第一掃気ポートとの間部分になる所もやっておけば無難なのですが。

これだけを見ると、「ピストンクリアランスが変わってしまうんじゃねえの?」といった疑問があるかなと。

が、結論から先に言いますと、そんな事はまず無いと言う事で。




確かに、クリアランス指定である1/100程度の寸法であれば、アルミ製ピストンを磨いていけばその位は

ちょっと頑張れば削れてしまう範囲ではあるんですよ。

当然、これは径のでかいピストンであればちょっとだけ削ってもさほどプロフィール的な寸法変化はほぼ

ありませんが、同一寸法を小径ピストンで削ってしまうともちろんそれ以上の「変形率」になってしまいます。


が、この斜線部分と言うのはですね、基本的にピストンクリアランスを決定するのには関係無いんですよ。

何故かと言いますと…車種によってはリングの回り止めピンがかなり第3掃気に近い物もあり、そういう物で

あればやりすぎると周り止めピン部の対角寸法が「狭く」なるでしょうし、下手をすれば「ピストン前後方向」の

寸法にまで影響を及ぼすかも知れませんが、それでも「ピストンの前後方向」の寸法が変化する所にヤスリを

当てるといった状況にはまずなりえませんからね。

と言いますか、普通は「前後方向」なんて寸法変わる程思いっきり削ったりしませんよね(笑


で、仮にこれが、CR80とかキタコレーシングピストンとかの「吸気側が逆U字カット」されている形状の

ピストンであれば、ピストンプロフィールを測るにはリング合口部の延長線上である箇所しかマイクロが綺麗に

当てられないので、「リング合口の対角線上」でしか判断出来ず寸法判断はかなり難しいです。


そして、そういった物である場合限定だと、確かに「リング合口から上下の部分」を上から下まで削って

しまうと「クリアランス」が大きくなるかもしれません、というのは分からないでも無いですが。


実際はこんな感じ


が、そういった状態にしても、実際に図中の青丸部分を削っても、ほとんどピストンの「前後方向」に対しては

寸法変化はありません。

コンロッドに対して斜めになる部分の寸法を詰めても、「前後方向」の寸法なんて大幅に変化する訳無いんですよ。

…これは前述している通り、ピストンってのは真上から見ると、「横方向が細い」プロフィールだからというのも

影響していますよ。(縦幅より横幅が広いピストンというのは私は見た事ありません)


なので、「クリアランスの決定」をすべき「部分」以外を気にしてもしょうがないって事で。

そして、ピストン合口近辺を削ったりその対角側を削ったりするのは、その箇所のピストンクリアランスを

増大させておきたい、といった狙いが一番にある物なので、万が一そこが狭すぎて抱き付くよりははるかに

マシである、と言う事もお忘れなき様にお願いします。


本来はあの手法は純正シリンダーやピストンを組み合わせる時の保険の様なモノなのですが、これまた

前述の通り、きちんとすべき所が出来ていないシリンダーやピストンだと、いくらその辺を削ろうが何の意味も

成さないというのは大前提ですのでご注意下さい。


あの慣らし前のアタリ取りという保険的手法は色々な所に転載されているのは私も把握していますが、これは

「単純な手法として鵜呑みにして行っていれば全ての状況に応じて安心」と言う訳では決して無い、といった

事もご留意下さい。

そもそも、それ位の加工で「保険」となるのは元々精度の良い物だけであり、その手法を書いている私自身は

精度の怪しげなモノをたかだかそれだけの処理で安心して使うと思いますか?と言う事で。

アレを書いた時代であればそこまで酷い物はまだ世の中に溢れていなかった、と言う事もあるので、

その辺りも加味して「応用」して頂きたく思いますよ



で、ホントに最後に写真での一例をご紹介しておしまいにしますね。

まずは前述の「逆U字カットピストンでリング合口付近を組み付け前に慣らした物」です。


キタコ製だったり これは結構古いエンジン写真になりますが、ピストンクリアランスを見誤り狭めの4/100しか取っていなかった物です。

距離はある程度走行していますが、一番「アタリ」が強いのはどこに見えるでしょうか?

少なくとも熱を持ちやすいリング合口付近は大したダメージは無く、これに合わせたシリンダーは排気ポート弦長も開口時間も長いので、ピストン首振り跡のみ強く見えますね。

ですがこれでもエンストしたりしてはいませんし、抱きついてもいません。



これでも逆U時カットピストンとはいえ合口近辺にダメージが行かず、センター部分でなおかつ熱を持ちやすい

「ピストン上半分」のみがアタリが強くなっている、と判断出来ますね。

そもそも、センター付近だとポート開口部があるのでこの程度のアタリでは異常に抱き付くまでは行きません。


次にもう一例をば。


ホーニングなし&精度悪い物 ホーニング済み&精度良い物



これは比較画像になりますが、左のシリンダーは私が手がけた物ではありませんが、元々精度の悪い品を

そのまま無理矢理使い倒しているといった物です。

排気側の排気ポートと掃気ポートの中間点には何度も抱きついた跡があり、排気ポート周辺にまでかなり

クリアランスが狭かった事が原因であろうギタギタ傷が見受けられます。

ココまで来るとどうあっても使い物にならないLVですが、極端に駄目な一例であるという事で。


右側は私がピストンプロフィールを計測しきっちりホーニング加工を行った物です。

これは使用時間は短いですが、ほぼ慣らし無しで13000rpmオーバーまで使った物…と言いますかこれは

SS用のシリンダーなんですけどね。


で、これはロクな慣らしも無しで超高負荷をかけ、冷却すら皆無な仕様で数十本走った後の状態ですが

これも排気ポートがでかい事による多少の首振りのアタリは存在しますが、それも「ピストン前後方向」の

頂点部分ともいえる一部分のみにしかアタリはありません。

ちなみに排気ポート弦長は左の物がボアの68%で右の物はボアの76%ありますよ。


…そもそも、「前後方向」以外の箇所にきつめのアタリが付く時点で何かが「寸法的におかしい」と言う事も

覚えておかれると宜しいかと思います。

…とまあ、ちょっと極端な例かも知れませんが、きちんとしている物としていない物では慣らしの有無すら

関係なくしてしまうといった「精度、仕上がりの違い」があるという事もなんとなくお分かり頂けたかと。

これもいつも例えでモノを言っていますが、仮に純正のピストンとシリンダーを新品で組みつけ、それを

いきなりフル全開で走るといきなり焼き付いたりしますか?って事と同じですね。


パワーや負荷のあるなしではなく、精度が出ていないと何をやっても無駄、と言う事は念頭に置いて

「モノを選ぶ」と建設的だと思いますし、壊したくないのであれば事前にきちっとホーニング加工に

投資しておく、という事を私はお奨め致しますよ。

何度も重複しますが、自身のセッティングや運用が悪くて壊すのではなく、モノが悪くてどうにもならない、と

いった事はある程度自分で把握しないと、意味のない負のスパイラルに陥りますんで、ね…


さて、相変わらず長くなってしまいましたが、久々に基本的なコンテンツになったかと思います。

ホーニングやピストンクリアランスというものはかなり大事、と言いますか一番にこれを気にしないと

安定運用には程遠い、という事も大きいのですが実際やろうとするとコストがちょっとかかりますし

ピストン計測等も「自分で納得」すべきなのでちょっと難しいのですが、本来はここをクリアしておかないと

安心していじくれない、といった物なんですよ。


これが仮に純正品ベースだと、余程酷いトラブルを起こしていない限りはシリンダー内径が歪んで

しまったりはせず、多少リング摺動部分が減っても程良いクリアランスが保てているといった事も

大いにあったりするので、純正中古良品と怪しい新品ならばどちらを選ぶか、と言う事も(笑


そして…これはどっかで書きましたしいつも言ってますが、安価ででかい排気量のボアアップKITとかだと

一体どこに「信頼出来る要素」があるのか、という疑問もご理解頂けるかと。

全ての製品を否定する訳ではありませんが、これだけは決して私だけが神経質すぎるとかシビアすぎると

言う訳ではない、という事だけは声を大にして言わせて頂きたいですね。

○○社のシリンダーやボアアップを使ってれば安心だ、なんてのは通じない世の中になっていると

いう事も、「無駄な時間を使いお金を捨てたくないのならば」気にしておくべきだ、と私は思いますよ。



「スクーター改造」に戻る