さて今回は、タケガワから発売されている「JOG系用・フロンオイルダンパー」についての考察を行います。
この製品、JOG系のガタガタ純正フォークを補填するというコンセプトの物ですが…
個人的には「ポン付け」では全く使えない物だと思いましたので、少々改良を施しました。
ガチガチにも程があります。
私も始めてバラした時にはびっくりしましたよ…
こういった場合、フォーク内部の構造も大事ですが、ノーマルに比べてどの位の「寸法差」があるのかを把握する事が大事ですね。
要はフロント回りのバランスが変わってしまうポイントを、きちんとした数値で出す、と言う事ですね。
フォークの硬さ云々よりも、そういった所に目を向けないと、きちんとしたフロント回りは作れませんので。
…一番左の物はZ用ですが、ほぼZRと同じ寸法だとお考え下さい。
(ZRのフォークが見あたらなかったので…)
アクシス用は取り付け時にステム回りの加工が必要ですので、純粋なフォーク寸法の比較と言う訳ではありませんが参考までに。
フォーク下部を合わせ、純粋な全長の差を比べてみました。
これですとアクシスの物だけが短く、他の2本は大差は無い様に見えますね。
(ちなみにフォークが伸び切った状態での計測です)
寸法は取っておりますので、ご要望がありましたら比較データをUP致しますよ。
あくまで装着状態で0G&ゼロストローク状態の比較ですが…寸法は少しの誤差があると思いますのでご容赦下さいね。
たった40何ミリしかストローク量の無いスクーターのフォークでは、2〜3mmの差でもかなりの挙動の変化となって現れる物なんですよ。
こちらは後方に向けてオフセットが多いとホイールベースの短絡に繋がりますが、寸法差が無いので今回は無視して良いと思いました。
ZRノーマル=295mm
フルボトム時には約7mmもの差が出て来るんですね。
しかもご存知の通り、タケガワフォークは無茶苦茶「硬い」ので、素直にここまで沈む事自体がありえないんですよ…
(私の計測では、タケガワフォークが無加工状態ですと約20mm程しかストロークしていませんでした)
…こんなバランスでは「曲がらない」以前の問題で、路面からのショック吸収など到底期待出来るLVですらありませんね。
フルストロークしていたとしてもJOGのノーマルよりキャスター角が寝てしまい旋回力に劣るのに…
タケガワさんには悪いですが、こんなバランスで商品として売っているのはどうかと思われますよね…
以下は私が行った加工方法ですが、これを実践される方はきちんとフォーク寸法やバネの長さ等、「理解をした上で」行って下さい。
ですのでまず分解しオイルの量&粘度、そしてスプリングの長さ&レート等を把握する事から始めます、
(まずこの時点で、スプリング自由長200mm→194mm 2巻半程のカット)
…約6mmカットしてコレですよ(笑
(ちなみにフォークは伸ばし切っています)
ノーマルの油面も異常に高く、とりあえずオイルの圧側減衰力を無視して考える事にし、オイルを捨ててスプリングのみ限界までカットしてみる事に。
結局スプリングが遊ばない限界値まで切って行くハメになりましたが…
その数値は
スプリング自由長200mm→174mm
この寸法ですと、限界までスプリングが伸びた時にも遊ばないのでリバウンドが殺される事も無い様です。
もう切りまくりでワケが分かりません(笑
結果的に26mmスプリングをカットしました…
先ほども書きましたが、圧側のストロークスピードはスプリングでは無く「フォークオイル」よってコントロールされる物ですので。
(絶対的沈下量はスプリングの「硬さ」で決まりますが、普通のライディングでの使い方を考えるとそこまでの荷重が掛け切れないんですよ。サーキットでも無理ですが。)
オイル量だけを見ると普通ですが、コレに騙されてはいけません(笑
…「油面」が高すぎるんですよこのフォーク。
たった50cc前後のオイル量で50mmの油面と言う事は、結構「底が浅い」ボトムケースという事になります。
これじゃストロークしないのもさらにうなずけますよね。
フォークオイル:ホワイトパワー#10を30cc
油面高さ:105mm
先ほどのスプリングと合わせるにはこの程度が無難かと思われますね。
そしてフォークオイルですが、私は柔らかめのホワイトパワーを使用しました。
これがカヤバ等になってくると同じ#10でも極端に硬さが違って来ますのでご注意下さい。
このフォーク、伸び側減衰力はかなり「底」の方で強く効いて来る設定になっていますので、伸び側減衰力をオイルで強める必要は無いと思ます。
スプリングの反発力で伸び側減衰力が殺されるのを防ぐ方向性の加工ですので、オリフィスはとりあえずそのままでOKかと。
長くなりましたが、私は「ZRらしいスムーズなボトム」に近づけるための加工を施してみましたが、これでもまだ少し硬いと思われますね。
スプリングが元々レートが高めですので、どうしても実用範囲内でのスムースストロークは実現出来そうにありません・・・
上手くこのインナーチューブに入るスプリングが見つかれば良いのですが、凄く中途半端なサイズですのでどうにもなりません(泣
(径さえ合うスプリングがあれば良いのですが)
後は…突き出し可能にする為に、インナー径を細く切削したいですかね。
(密かにKN企画製のフォークにも応用出来そうです)
フォークオイル:ホワイトパワー#10を30cc
油面高さ:105mm
しかし足廻りという物は「硬くすれば良い」と言う物ではありませんので、バランスも含めて色々考えないと良い物は出来ないと思いますので…
JOGに限らず、参考にして頂ければ幸いです。
このフォーク、ボルトオン装着ですと全くと言っていい程「動いて」くれません。
まず普通に比べてみました。
今回はあくまでタケガワ&ノーマルの比較ですので、アクシス用は参考程度にお考え下さい。
ではフォーク寸法を正確(?)に測った図をご覧下さい。
こちらがフォークの寸法比較です。
この比較から分かる事は、まず絶対的なストローク量の違いですね。
そしてヤマハ特有の、「アクスルシャフトのオフセット量」は同じと考えて良いと思います。
とりあえず1G沈下量を無視し、フォークをフルボトムさせた状態でのフォーク全長は、
タケガワ=302mm
これでお分かりかと思いますが、タケガワフォークがZRフォークと同じ硬さだと仮定しても、ノーマルに比べて7mm程フロントが「落ちきっていない」という状況になってしまいます。
さて、ここからは具体的な加工方法をご紹介します。
まず、圧側が硬いフォークではストロークを稼ぐ事は出来ません。
写真が無いのですが、このフォークをバラした時、フォークキャップを外すといきなり
スプリングが1cm程飛び出してきてあせりましたが。
…フォークを伸ばしきった状態でインナーチューブ上に1cmもスプリングが飛びだす仕様とは一体…かなりの謎でしたよ(笑
もちろん圧側が沈みにくいのはこれが一番の原因だと思い、少しスプリングをカットしてみました。
・・・しかし全くと言って良い程変わらずでしたがね。
ここまでカット(約6巻程)しないとダメでしたね。
しかしこれだけではまだストロークしきってくれないんですこのフォーク(泣
まず結構適当ですが、ノーマルのオイル量は誤差を含めても約45〜50ccだと思われます。
私の計測では、50mm近い油面高さでした。
というワケで、試行錯誤を繰り返し、
では最後に、私のセッティングを明記しておきますね。
スプリング自由長200mm→174mmまでカット(約6巻カット・遊びは無し)
…やはりいつものクセで解説が長くなってますがご容赦下さい(汗