排気系の基本


各種チャンバー


ここでは2ストエンジンのパワーを上げる為に重要な「排気系」のお話をしたいと思います。


さて、2ストエンジンの排気管は「チャンバー」です。
これはただの「筒」ではありませんね。
各メーカーから色々な種類が販売されていますが、当然性能の良い物と悪い物があります。

そこで、簡単なチャンバーの見極め方を紹介したいと思います。


まず、「膨張室」「太くて容積が大きい」タイプの物は「トルクが出る」タイプです。

そして「膨張室」「細くて容積が小さい」タイプの物は「高回転型」のタイプです。


大別するとだいたいこの2種類に分けられますね。(例外もありますが)

最近流行の「ユーロタイプ」は、膨張室がかなり太くて長いです。
よってかなりの「トルク型」になっている傾向があります。
(昔のチャンバーの様に何が何でも高回転高出力型では無いですね)

しかし、「膨張室が太くて容積が大きい」タイプのチャンバーだと、確かにトルクは出ます。
その反面、今使っているエンジンに対してチャンバー容積が大きすぎると、レスポンスの低下等の弊害が出て来るんですね。

膨張室が大きいと、燃焼室からの「正圧波」が膨張室後端のテーパー部分まで届くのに時間がかかり、未燃焼の混合気をシリンダー内に押し戻すのに時間がかかってしまうからです。

ピストン&シリンダーでのパワーが出ていない低出力エンジンでは、「正圧波」の「スピード」が足りないからだと思います。

ちなみにテーパー部分の「絞り」の角度が急だと、そこで一気に「正圧波」の圧力が反射しますので、レスポンスの低下もある程度は防げる様ですね。


この辺りは極度にレスポンスを必要とするステージで走行しないとなかなか体感出来る物ではありませんが、レスポンスが悪くそれによって「再加速」まで悪いマシンでは…
乗っていて楽しくは無いと私は思っていますのでね。


・・・偉そうに解説してしまいましたが、チャンバーについては私はまだまだ素人ですので、間違いがありましたらご指摘頂けると嬉しいです。



ではここで、スクーターのチャンバー選びで失敗しない方法を解説したいと思います。

まず、「ウェイトローラーのセッティング不要」という物がありますね。
はっきり言ってこういうタイプの物は全く走りません。

スクーターを「速く」しようとすれば、排気量に関わらず「ノーマル以上の高回転を使って走る」仕様になる物です。

ですので、将来的なチューン等を考えると問題外です。


次に「ウェイトローラーの重量は半分位でOK」という物ですが、こういうタイプはそこそこ走ります。
しかし、 それに加えてクラッチミート回転を上げなくても良いというタイプの物では、いまいちレスポンスに欠けてしまいます。

確かに、「ウェイトローラーを軽くして、高回転側に移行したパワーバンド内で変速させてやる」と言うのは当然です。
ですがそれだけでは、

クラッチが完全にミートした後でも、プーリー等が「ローギヤード状態で加速している」という状態になっています。

これではアクセルを「全閉」から「全開」にした場合のレスポンスが悪くなってしまいます。

なぜなら、「クラッチミート回転数」と「変速回転数」がズレているからです。
私の理論では、「クラッチがミートした瞬間にプーリー等が変速を開始する」のがベストだと思っています。

「変速回転数のみ設定して、クラッチミートは上げなくても良い」というチャンバーでは、よほどパワーバンドが広くない限りこの様になってしまいます。


結論として、「速いチャンバー」とは

パワーバンドが狭くても高回転で高出力が出ている物で、なおかつ自分のエンジンに合った膨張室容積を持っている物

という事になります。

・・・後、かなりの確率で値段とパワーは比例します。

少なくとも私は、「安くて速いチャンバー」と言う物は見た事がありません。

最近でも昔と同じく色々なチャンバーが選べますが、チャンバーという物は本当に性能はピンキリなので…

あまりにも安い物は何かを犠牲にしている事がとても多いですね。


もちろん市販チャンバーでは飽き足らず、ワンオフのチャンバーを何万円もかけてメーカーさんに製作依頼している人もいますよね。

…私も某有名メーカーに作って貰った事がありますが(笑



最後に、今まで私は何十本とチャンバーをセッティングしてきましたが、本当に「速い」と思えたのは3〜4本しかありませんでした。

これからも色々なチャンバーを使ってみたいものですね。



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