さて、今回はFNのキモでもある駆動系流用のご説明ですが、Gダッシュの物が使えるという分析結果が出ましたのでご報告致します。
今回使用するのは、純正呼称で「ドリブンフェイスセット」です。
このパーツなのですが、これはトルクカム溝があるドリブンフェイスの「相方」になる皿状のパーツですね。
G´用のこのパーツをライブDioZXに流用してみました。
何故これを使ってみようと思ったかと言いますと…某グッピさんより
Gダッシュのドリブンはライブの物より最大変速時にベルトが落ち込む
といった情報を頂いたからなんです。
これは「駆動系パーツは純正流用しか出来ない」FNクラスマシンに対してはかなりのメリットがあると思いましたので。
では早速分析結果をどうぞ。
まず初めに、私はFN-Dioでは基本的にノーマルの駆動系+G´ベルト&クレアトルクカムしか変更していません。
Dio乗りの方ならご存知でしょうが、何故G´ベルトを使うかと言いますと、
最大変速時のドリブン側のベルトの落ち込みを促進する
といった狙いがあります。
最高速を少しでも狙う為のチョイスですね。
(このあたりの詳しい事は「FNマシン作りのコツ Dio編」に記しておりますのでそちらをご一読下さい)
これはなかなか効果的なのですが、ノーマルより短いベルトを使わなければならない為、ベルトの幅調整で何とか
「クランクが無理に引っ張られない」状況を作り出さないとダメなんですね。
最大変速時&最高速時にあまりクランクシャフトが引っ張られてしまうと、最高回転数の落ち込みやスピード自体の「伸び」のフン詰まり感が出てしまうんです。
レースですのでクランクシャフトやベアリングの耐久性うんぬん、は言えませんが、これを何とかするために今回の実験に及んだワケです…
(実質、65km/h位を超えてからは変速にかなりの無理がかかり、スピードも伸びにくいといったのが現状でしたので)
まずG´のドリブンフェイスの特徴としまして、
トルクカムピンを装着する穴がライブ系よりも外側にある
という事があげられます。
これは下図をご覧下さい
G´用ドリブンとライブ用ドリブンの穴の位置を計測してみました。
おおむねこんな感じですが、AF35ライブZX&AF28スーパーZXのドリブンは基本的に穴位置が低めの様ですね。
G´用ドリブンは3個、ライブ系ドリブンは6個程穴の位置を計測しましたが、基本的にG´の物は底面から28mmに近い寸法の物が多く、ライブ系は逆に27mmに近い寸法の物が多くありました。
少々の誤差はあると思いますが、統計的に見てもG´用ドリブンは穴位置が高い(外側にある)という事になりますね。
一応私の手持ちの情報では、穴位置が違うのはG´のドリブンのみで、後の大径ドリブンの車種は穴位置は程同じ、といった感じになりました。
ドリブン品番を明記しますが、
AF28 Dio-ZX (92年式) 23205-GAH-305 刻印無し
AF28 Dio-ZX (93年式) 23205-GAH-315 刻印無し
AF35 ライブDio-ZX (前期型) 23205-GAG-305 刻印「HM-BL」
AF35 ライブDio-ZX (中期型) 23205-GBL-306 刻印「HM-LK」
この4種類はほとんど穴位置に差が無く、あったとしても誤差の範囲で27mmに近い物ばかりでした。
そして現物確認はしていませんが、後期型DJ-1R&DJ1-RR&DJ-1Lにも大径ドリブンが使われています。
しかしこれはG´と同一の品番、23200−GR1-750が使われていますので、G´と同じと考えて良いかと。
大径ドリブンの中でも、この1種類だけが穴位置が違う様ですね…
※写真中の「たぶん」というのは、現在このパーツは品番変更が行われ、23200−GR1-750ではもう手に入らないからなんです。
現在の品番は23200−GR1-751となっている様ですが、私はこれを注文したワケではありませんのでご了承下さい。
そしてそのドリブンですが、最小変速時にはこうなっています↓
G´用ドリブンを最小変速状態…すなわち皿と皿をくっつけた状態ですね。
少し分かりにくいかもしれませんが、皿と皿が完全にくっついていませんよね?
これがG´ドリブンのピン穴の位置の違いによる現象なんです。
ピン穴が外側にある分、最小変速時にはトルクカム側のフェイスがきちんと「落ちきらない」という事ですね。
他の車種のドリブンでは、皿と皿の間に隙間は出来ません。
そしてライブ用ドリブンSETとの「最大変速時」の比較です。
左側が97ライブZXドリブン&トルクカムSET、右側がG´ドリブン&トルクカムSETでの比較になります。
…これは皿自体の角度や作りの差もあるのでしょうが、きちんとドリブンASSYを組んだ状態で比較すると良く分かりますね。
皿(フェイス)の角度自体は…今回の場合ベルトのさらなる「落とし込み」が最重要項目なので角度は気にしません(汗
実際ベルトを入れても、わずかですが違いが視認出来ます。
さらに分かりやすい写真としまして↓
最大変速状態のG´ドリブン上面ですが、オイルシールが少しはみ出ていますよね?
他のドリブンとの決定的な違いはやはりココでしょうか。
このオイルシールのはみ出た分だけ、ドリブンそのものが開いている、という事になりますね。
…ちなみにG´以外のトルクカム側フェイスを入れてもこんな感じになります。
ええと…しつこい位違いをご説明してしまいましたが…結局何が言いたいかと申しますと、このドリブンを使用すれば
G´ベルトを使った場合でも高速域での「クランクの引っ張り感」が無くなる
という事です。
これはライブでは画期的だと私は思いますよ。
実質私もサーキット走行やレースで使用してみましたが、明らかに高速域、最大変速後のスピードの伸びが違いました。
そしてメーターが張り付く手前位の速度でも、回転がドロップ気味にならずスムーズにスピードが出ている印象を受けましたね。
今までより「クランクシャフトの負荷」が少なくなった証拠としまして、前車のスリップストリームに付いた場合、今までよりも車体の「引っ張られ具合」が全く違いました。
負荷が無くなっていないのであれば、エンジン&クランク的にははるかに負荷の軽くなるスリップストリームでも単独走行でもあまり「引っ張られる感覚」は変わらないハズですので…
(表現がおかしいですが…レーサーの体感的な物と言う事でご容赦下さいね)
というワケでして、「短めのG´ベルト」を使われている方にはこの「G´ドリブン」はかなりお奨めですよ。
私の使用しているベルトは幅が17.5mm位の物ですと、長さは約662〜664mmの物を使っています。
この長さではかなりクランクの引っ張り感がありましたが、G´ドリブンですとそれを相殺してさらに最高速が伸びる印象がありますね。
ちなみに…最小変速時にベルトがドリブンの一番上まで行かないのではないか、と思われるかもしれませんが…それは問題無いです。
…Dioの場合、よほど極端なパーツを使わない限り、ドリブンの一番上までベルトが行くことはまずありえませんので(笑
FN仕様だと全く問題になりませんよね。
そして最後に蛇足ですが…何故G´ドリブンだけがこんな設計なのかを考えてみました。
やはりG´はレース用と言う事もあり、まずドリブンで高速域の伸びを考慮し、それに合わせて最小変速時も普通にベルトが落ち込む様にしているのでは無いか?と思っています。
ボスをぎりぎりまで短くして高速域の伸びを稼ぐのではなく、低速域でも無理なくベルトがボス近くまで落ち込む設計なのでしょうね…
そう考えると、トータルボス長がほぼ同じでプーリー&ベルトもG´と同じ、そしてさらにドリブンが開ききらない仕様のAF28ZX(初期型のみ)はデチューン車と言う事に(汗
まあライブはさらにベルトが長いので一番のデチューン車両だと私は思ってますがね(泣
あ、本当に最後に補足なのですが…G´ドリブン、今では新品では手に入らない可能性の方が高いです。
これだけ押しておいてなんだと思われるかもしれませんが・・・実質品番変更がされていますので全く同一な物が来るとは限らないんですよ(汗
(一例としまして・・・AF28スーパーDioZXのボスは35.4mmとか36mm弱の長さが平均だったのですが、今注文しても品番は当時の物で来ますが中身はライブ用36mmにしか見えないんです)
現在の品番は23200−GR1-751ですが、コレを注文して検証して下さった方がおられましたらご一報頂きたいです…
2004年10月現在では、上記の品番が存在している事は間違いありませんので(汗
あ、裏側の刻印は当時の物でしたら「HM-R1」となっています。
…単価が4680円まで値上がりしていますので、当時物である可能性は高いのですけれどね。
補足
匿名の方より、上記の23200−GR1-750ドリブンが、現在でも23200−GR1-751の品番で入手出来ると言う情報を頂きました。
刻印も「HM-R1」、ピン穴位置も28mmだったそうですので、同一の物という事になりますね。
なので、2005年1月現在もこのパーツは入手可能、と言う事で補足させて頂きます。
補足2
O田氏&TA氏より、上記の23200−GR1-751ドリブンが23205-GAH-315の品番に変更されたという情報を頂きました。
しかし刻印は「HM-R1」、ピン穴位置も23200−GR1-751と同等だったそうですので…
これは何らかの理由で中身は同じの品番変更、といった感じかと思われますね。
結果、この形状のパーツが入手不可になったワケでは無いと言う事を補足させて頂きます。
2006/1/17追記